「ハルヒサさん」

職人

そばざる職人ハルヒサさん

ハルヒサさんはそばざるづくりの名人で、今でも1日に2枚のそばざるを作っています。
(そばざる作りは、材料加工も合わせて2枚/日が一般的)
作業場はいつも整然としていて、決して広くはないその作業場の中で太い竹を難なく割り、長いひごをスルスルと編んでいく。
朝8時過ぎから仕事が始まり10時にはお茶をする。12時にお昼を食べてから1時間半のお昼寝を挟んで、15時に2度目のお茶をしてから17時まで仕事をするというルーティンを守っています。



↑竹割中のハルヒサさん。ご自宅の作業スペースにて


私とハルヒサさんの最初の出会いは、私が移住した年に開催された竹細工組合の講習会。どこからやってきたのかも分からない私を「お前も竹を割るのか」と言いいながら、怪訝な表情をしていたのを今でも覚えているし、とても厳しい人だというのが伝わってきました。
それから7年。今では、一人の職人として受け入れてもらえてることを十二分に感じる仲になりました。

作業場を訪ねると、嫌な顔一つせず作業を見せてくれ、わからないことを聞けば冗談を交えながらどんなことも見せて教えてくれるし、一緒にお茶の時間を過ごしたりもしています。


追いかける背中があること

そのハルヒサさんにそばざるづくりを初めて見せて貰ってから7年。私は中々そばざるを作りを始められずにいました。それでも、ここで始めないとずっと向き合えない気がして今年からそばざるづくりを始めました。そばざるが足りないということは元より、作ったそばざるをハルヒサさんにみてもらいたいという気持ちが強く沸いてきたからです。

私の拙いそばざるをみて「お前が作ったのか。十分だ」と言ってくれましたが、ハルヒサさんと私のそばざるを片手で持ってみると違いは明らか。改善したい内容を伝えると、ポイントを絞ってアドバイスをしてくれました。


↑左:ハルヒサさんのそばざる。柔らかい曲線にキリッとした表情。片手で持った時にギシッという張りが感じられます。
 右:私のそばざる。少し軽い印象で、片手で持った時の張りが少し弱くシナリが大きい。


90歳を過ぎた今も「お前がいるうちは俺も出る」といって道刈り(竹を運ぶための草刈り)、道こせ(土嚢を作って敷き詰める)も参加して、山仕事の仕方や竹細工職人としての姿勢を自ら示してくれるハルヒサさん。自分に厳しく、義理堅くて、愛情深い人。追うべき背中があることが、こんなにも心強いものなのだいうことを会うたびに感じています